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Channel: 津々堂のたわごと日録
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■惨禍からの脱却

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 熊本大学永青文庫研究センターの稲葉教授の最近の著「歴史にいまを読む」読んでいたら、つい先ごろお亡くなりになった明治大学の藤木久志名誉教授に15年間に及ぶ学恩を蒙られていたことが書かれている。
私は藤木教授の本を数冊読んで、中世期の百姓のしたたかな生きようを知った。数冊読ませる説得力がある。
稲葉教授の講演をお聞きしたことが有るが、今レジュメなどを読み返してみると、藤木教授の学説の一端が盛り込まれていることに気づかされる。
田や畑を戦いの場として蹂躙される百姓たちは自衛のために集団をつくり、時には他所へ出かけ物や人を略奪することも常であった。
秀吉の平和を希求する願いは、そんな「過酷な惨禍からの脱却」だとされる。信長・秀吉・家康らの覇権争いのつまるところに「平和」という旗印があるとすれば、不毛だと思ってきた長い戦の歴史も理解できそうである。

      好書好日「歴史学者・藤木久志さんを悼む 百姓の視点で新たな戦国史」


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